代表的な虫がチャタテムシ類で、主にカビなどの菌類と、穀粉(動物飼料など)やフケ・紙類に使用された糊類・剥落した皮膚などの有機物も食べます。またその消化管内には多くのカビの胞子を有していることが確認されています。
チャタテムシ類は元来弱い虫ですが、温湿度が一定に管理されたクリーンルームなどの施設では、餌さえとれれば絶好の繁殖場所となります。建物への侵入は、多くの場合「持ち込み」によるものです。 資材などに付着しているチャタテムシ類が、荷物とともに持ち込まれ、内部で定着し、他の場所へと拡散していく事例が多々見受けられます。特に段ボールにはよく見られ、段ボールをクリーンルームに持ち込むことにより、チャタテムシ類も運び込まれてしまいます。
チャタテムシ類は段ボールの波板内や、折り重ね部分に潜んでいるため、表面を拭いたり、エアーで噴いたりしても、中々侵入数を減らすことはできません。そして、一度侵入を許してしまうと、部屋内の微小な隙間(壁立ち上がり部のはばき、扉の隙間、壁材接合部の隙間など)を巣や潜み場所として内部繁殖を行い、各所へ拡散していきます。
繁殖条件が整うと、爆発的に繁殖し問題となる事例が増えています。(湿度60%以上の施設は要注意です)
はばきの隙間 床材の隙間 |
蝶番の隙間 |
コンセント内部や周囲の隙間 |
対策の大前提として、生息場所の把握が最も重要であり、それを把握するためにもモニタリングが必須となります。特にチャタテムシ類は、局所的な発生(狭い範囲での発生)が多いため、トラップも細かく配置する必要があります。 クリーンルーム内で増えて拡散してしまったチャタテムシ類を絶滅させることは、殺虫剤も使用できないこともあり非常に困難です。防除の対策としては、以下があげられます。
【1】 持ち込まない(段ボールなどの紙資材の持ち込み禁止) | |
【2】 早期に発見する(定期モニタリングの実施) ※侵入や発生状況をつかむ | |
【3】 定着させない(生息しにくい環境づくり) カビ類の発育を抑える湿度管理・微小な隙間をふさぐコーキング処理。 | |
【4】 除去する(こまめな清掃) 穀粉(動物飼料)やフケ・剥落した皮膚などの有機物を除去する。 ※対象虫のライフサイクルに合わせた 清掃頻度が重要! |
問題となる「虫」の侵入・繁殖・拡散を予防するためには、モニタリングの頻度に気を配る必要があります。「どのような虫がどのタイミングで侵入しているか」や、「内部繁殖の兆候」をいち早くつかむことが、最も重要となります。
たとえば前述のチャタテムシ類の場合は、卵~成虫まで約20日を要しますので、少なくとも1回/月のモニタリングが必要になります。
よく、1回/3ヵ月や1回/半年の頻度で実施されているケースがありますが、これではチャタテムシ類の繁殖が発覚しても、アクションを起こした時にはすでに他所へ拡散していたという場合が少なくありません。 虫の侵入は毎日行われていますので、どの時点で異常に気付くかということはとても重要なことです。
この例として、モニタリングの頻度(実施回数)が少なかったため、クリーンルーム内でのチャタテムシ類の大量発生に気づくのが遅くなり、終息させるまでに約6カ月、対策費用も数百万円を超える出費となってしまった事例があります。 このような大きな問題に発展させないためにも、毎月のモニタリング実施をお勧めいたします。
丸三製薬バイオテックでは、生息調査を十分に行い、その原因を究明し、最も効果が期待できる対策をご提案いたします。
・ホコリの多いところ → 除塵の徹底
・カビの生えているところ → 除菌の徹底
・パレット・ダンボール → 除虫の徹底
【生活史】
チャタテムシ類 : 卵期間 約11日・ 幼虫期間 約15日
卵から成虫まで約20~30日 → 1ヵ月月以内の対策が必要
成虫寿命 5~6カ月
生涯産卵数 200個
(1日産卵数 1~2個) → 1週間以内の対策
※温度差 → 結露 → カビの発生 → チャタテムシ、他食菌性昆虫類の発生
体長:約1.0~1.5mm
不織布による除塵 | 床面全体 |
掃除機による除塵 | 機械廻り、コーナー・壁立ち上がりなど |
1回/日 | 捕獲頻度の高いエリア |
1回/週 | 年に1~2回捕獲があるエリア |
1回/月 | 過去に捕獲例がないエリア |
アルコール製剤等による除菌 | 床面、腰板50cm高のエリア |
週毎 | 捕獲頻度の高いエリア |
月毎 | 年に1~2回捕獲があるエリア |
搬入時のエアガン処理 | パレット中心に360度ブロー 1分間 |
IRC全自動散布装置 |
炭酸ガス製剤 |
クリーンルーム床への設置 |
窓枠サッシへの設置 |
機械モーター周囲への設置 |