人体にとってどのような影響があるのかを説明します。
人がホルムアルデヒドガスに暴露された場合、その濃度により下記のような影響が出ます
【 吸入暴露 】
0.06mg/m³以上 |
0.05ppm以上 |
目粘膜刺激 |
0.12mg/m³以上 |
0.1ppm以上 |
気管への刺激 |
0.5mg/m³以上 |
0.4ppm以上 |
呼吸障害、鼻腔への影響 |
人がホルムアルデヒド(ホルマリン)を誤飲すると下記のような症状が出ます
- ・めまい、抑うつ、昏睡などの中枢神経の抑制
- ・消化管および呼吸器への刺激症状
- ・腎臓の障害による排尿障害、無尿症、脳尿症、血尿
- ・肺浮腫、呼吸器の障害、循環性ショックなどによる死亡
ホルムアルデヒドガスの濃度と人体への影響
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濃度ppm |
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0.05~1.0 |
臭いを感じる |
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0.08 |
室内許容濃度(ガイドライン) |
長時間暴露により目粘膜刺激 |
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0.13以上 |
気管への刺激 |
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0.2 |
目への刺激(3時間以上曝露) |
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0.5 |
不快感 |
呼吸障害、鼻腔への影響 |
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2 |
鼻やのどに刺激 |
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4 |
催涙が起こる |
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10 |
正常な呼吸が困難となる |
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50 |
肺炎を起こして死亡することもある
5~10分で急性中毒起こす |
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2000 |
ガス殺菌濃度 |
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出典:許容濃度の暫定値(2007年度)の提案理由(日本産業衛生学会) 等
人がホルムアルデヒドガスに暴露された場合、その濃度と時間により下記のような症状が出ます
0.39mg-0.60mg/m³に8時間/週×8週間以上の条件で頭痛、目粘膜の炎症、のどの痛みの症状が報告されています。
ホルムアルデヒド製造工場の労働者40%に鼻腔の閉塞による鼻炎が見られる報告があります。
溶液に長時間接触した場合に、皮膚への刺激あるいはアレルギー性の接触性皮膚炎を生じます。
「ホルムアルデヒドによる接触性蕁麻疹症候群の例」
Contact urticaria syndrome from formaldehyde with multiple physical urticarias
Torresani C, Periti I, Beski L
(皮膚科学教室,Parma 大学, Parma, Italy)
Contract Dermatitis 35 : 174-175 (1996)
Key words : ホルムアルデヒド/接触性蕁麻疹症候群/看護婦/非免疫学的機序
ホルムアルデヒドによる接触性蕁麻疹症候群 (CUS) はアレルギー性皮膚炎のように一般的でないが,ホルムアルデヒドによる CUS と診断されたケースを報告しています。
ホルムアルデヒドガスの発がん性について
人における発がん性の危険性については、(社)日本産業衛生学会が2A:人間に対して発癌性があると考えられる物質(証拠がより十分な物質)と、ランクしています。環境省「化学物質の環境リスク評価」にはこの辺の事情がとても詳細に記載されています。
また、IARC:International Agency for Research on Cancer(国際がん研究機関)では、2004年9月7日に1:人に対して発がん性が有る(従来の評価はランク「2A」人に対して恐らく発がん性有り。グループ1へランクが格上げされました)と、ランクしています。
2004年6月WHOの研究機関IARCがホルムアルデヒドは発癌物質といっています。ホルムアルデヒドが鼻と口の癌を引き起こす十分な証拠があると述べています。鼻と口の癌は先進国では比較的少ないといわれています。さらに、ホルムアルデヒドが白血病も引き起こす可能性を示す証拠があると指摘しています。
ACGIH:American Conference of Governmental Industrial Hygienists(米国産業衛生専門家会議)でも、2A:ヒトに対して発癌性が疑われる物質と、ランクしています。
EPA:Environmental Protection Agency(米国環境保護庁)では、B1:恐らく発癌性物質(疫学的研究からヒトへの影響を示す物質)と、ランクしています。
IARCの見直しにより、今後他の研究機関や学会でもランクの見直しが行われる可能性があります。